親御さんのその症状、もしかして「てんかん」?
てんかんは子どもの病気、そう思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、年を重ねてから発症するてんかんもあります。高齢者のてんかんでは、ふいに意識を失い、動作を停止する発作がみられることが多く、発作後にしばらくもうろうとした状態が続くこともあります。この様子が認知症の症状と似ているため、てんかんと気付かれにくいことがあります。
こんな症状のときは認知症ではなく、「てんかん」かも
認知症ではなく、「てんかん」を疑う症状
- ふだんは何の支障もなく日常の仕事をこなしている
- 突然、動作がぴたりと止まり、声をかけても反応しないことがある
- 無自覚に口元をくちゃくちゃ動かす、身体をゆする、腕を動かすなどの動きがある
- 意識を失っても、倒れない
- 数十秒か数分たつと、何事もなかったかのように動き始める
- 意識がなかった間のことは何も覚えていない
- 意識が戻っても数分から数時間、ぼうっとしている
- 怒りっぽくなり、意味もなく声を荒げることがある
- 状態の良いときと悪いときがはっきりしている
- 目の焦点があっていない
久保田有一. 「高齢者てんかん」のすべて. アーク出版. 2017.
親御さんにこのような症状はありませんか?このような症状のときは、「認知症」ではなく、「てんかん」の可能性もあります。
認知症とてんかんの治療は異なります。てんかんはお薬で発作が抑えられる可能性が高く、認知症だろうとひとくくりにされ、見過ごされるのはとてもつらいことです。発作の間は意識がなく、ご本人が症状に気付いていない場合があります。ご家族やまわりの方が、これらの症状に気付くことが、診断や治療にとても大切です。
高齢者のてんかんが認知症と間違えられやすい理由
高齢者のてんかんでは、多くの場合、けいれんなどの激しい発作がなく、一般的なてんかんのイメージと違うため、てんかんと気付かれず、発作の様子や発作後のもうろう状態が認知症の初期症状に似ていることから、認知症と間違えられることがよくあります。
高齢者てんかんが認知症と間違えられやすい理由
- 発作中に「てんかんらしい」けいれんが起こりにくい
- 発作が起きても自覚や記憶がない
- 発作後にしばらく意識がもうろうとした状態が続き、ぼんやりする
- 発作中や発作直後には現在の時間や今いる場所がわからなくなる
- 怒りっぽくなったり攻撃的になるなどの感情障害がある
- 昔のことはよく覚えているのに、最近の出来事を忘れる記憶障害がある
久保田有一. 「高齢者てんかん」のすべて. アーク出版. 2017.
ご家族やまわりの方の情報が大切です
てんかんの患者さんご自身は、自分が発作を起こしていることがわからない、発作の様子や発作がどのくらい続いたかわからないため、診察時に発作について説明ができず、医師が知りたい情報を得られないことがあります。
高齢者のてんかんでは、適切な治療をすれば発作をコントロールすることができる場合が多いですが、適切な治療を選択するためには、医師が患者さんの様子を詳しく知る必要があります。発作の様子はもちろん、お薬を服用して発作はおさまったのか、気分や体調に変化はないか、副作用はないかなど、ご家族やまわりの方からの情報を医師に伝えることが大切です。
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