外来での診療
てんかんの治療は主に外来で行われます。通院頻度は、状態や治療の状況により、患者さんごとに異なります。外来での診察・診療では、患者さんに合った治療を見つけ出すほか、発作を起こさないための生活の工夫や、お薬の飲み忘れを防ぐ方法、お薬を飲み忘れたときの対処法などを医師と相談しながら身に付けていきます。発作のことだけでなく、成長や発達、就職や結婚、出産についても相談できます。
診察を受ける際のポイント
診察時に何を聞けばいいのか、何を伝えればいいのか悩んだり、診察時間が短く、伝えたいことが伝えられない、相談したいことができないなどの心配や不安があるかもしれません。伝えたいこと、相談したいことを事前にメモし、伝えたい順に整理をしておくと短い診察時間を有効に使うことができるでしょう。
1)診察のときに相談すること・伝えること
診察時には、発作のことだけでなく、お薬の副作用や日常生活、社会生活で困っていることを相談します。困っていることを医師とともに解決しながら、てんかんとうまく付き合っていくことが大切です。
相談すること・伝えること(例)
これらのようなことがあったら、医師に相談してみてください。
病気や発作のこと |
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お薬のこと |
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治療の効果や副作用のこと |
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日常生活のこと |
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からだのこと |
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2)こんな症状があったら医師や薬剤師に相談を
医師や薬剤師に相談する症状
- 発疹
- 視界がぼやける
- 気分の変動
- 毛が抜ける
- 眠気
- 吐き気
- 食欲不振
- ふらつきやめまい
- イライラ感
- 倦怠感
- 体重の増減
など
お薬を飲み始めたときやお薬を変えたとき、お薬を追加したときなどに、このような症状がみられたり、おかしいなと思うことがあったら、医師や薬剤師に相談してください。
3)限られた診察時間のなかで病気やお薬のことをうまく聞くには
診察のとき、聞きたかったことが聞けなかったという方は多いのではないでしょうか。限られた診察時間のなかでは、疑問や不安に思っていること全てを聞くことができないかもしれません。診察時間をうまく利用するヒントをご紹介します。
診察時間をうまく利用するヒント
- 困っていることを書き出してみる
- 疑問点や不安についてメモしておく
- 伝えたい順、聞きたい順を考えておく
- 絶対伝えたい、聞きたいものを3つ選んでおく
- 医師に質問するときに、「今日は聞きたいことが3つあります」など、いくつ質問があるか伝える
- 「〇〇に関することです」など、何についての質問なのかも伝える
- 家族や介護者が同席している場合は、メモをとってもらう
入院が必要となる場合
発作を実際に観察し、そのときの脳波を確認しないと正確な診断をつけられないことがあります。そのような場合は、入院をして検査を行います。また、お薬を減らしたり、中止する場合も入院して行う場合があります。また、外科治療や食事療法の場合も入院が必要です。
1)入院が必要となる検査
てんかんの診断のためには、発作のときにどのような症状がみられるかを詳しく検討することが非常に大切です。しかし、発作のときのことを患者さんが覚えていなかったり、家族やまわりの方が発作の始まりから見ているとも限りません。家族やまわりの方が発作の様子を覚えていないこともあるでしょう。
「長時間記録ビデオ脳波モニター検査」では、入院し、1~数日間にわたって脳波を測りながら、様子を撮影する検査です。検査中は、頭に脳波を調べる電極を付けて、テレビをみたり、本を読んだりしながら過ごします。寝ている間の脳波も測るため、寝ているときも電極を付けたままにします。脳波を測る電極は脳波を記録するもので、電気を流したりするものではありません。
2)入院が必要となる治療
お薬を減らしたり、中止したりする際に発作が起こりやすくなることがあります。安心と安全の観点から、医療従事者の十分な観察のもとで、お薬を減らしたり、中止することがあります。
お薬の調整や副作用への対応のために、入院してお薬を調整することもあります。
外科治療のほか、食事療法を行う場合や、免疫が低下する治療や感染症が起こりやすくなる治療を行うときも、入院が必要になる場合があります。