てんかんとは?
てんかんは脳神経の病気です。約100人に1人の割合で発症し、日本では約100万人の患者さんがいるといわれるごくありふれた病気です。
子どものてんかんは多彩で、発作の様子や経過はさまざまです。発作を抑えることだけでなく、日常生活や学校生活のサポート、こころのサポートなど総合的な対応が大切です。
てんかんの発作
てんかんの発作は、脳の情報伝達に乱れが生じ、神経細胞が異常に興奮することで起こります。発作は、周囲に気付かれないほど軽く瞬間的なものから、一時的に意識がなくなり倒れるものまでさまざまです。小児では、脳の大部分や全体が興奮する全般発作がよくみられます。
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小児でよくみられる発作
小児では、強直間代発作、欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作がよくみられます。
小児でよくみられる発作
- 意識を失ってけいれんが起こる発作(強直間代発作)
- 動作が急に止まり、ぼんやりする発作(欠神発作)
- 全身や手足を一瞬ピクッとさせる発作(ミオクロニー発作)
- 急に全身の力が抜ける発作(脱力発作)
1)意識を失ってけいれんが起こる発作(強直間代発作)
突然意識を失った後、手足をがくがくと曲げ伸ばしするけいれんが起こる発作です。発作がおさまるともうろうとしたり眠ることが多くあります。
2)動作が急に止まり、ぼんやりする発作(欠神発作)
急に表情がなくなりぼんやりした目つきになる、まぶたが1秒間に3回程度パチパチする、動作を停止する、反応しなくなるなどの症状が現れる発作です。
3)全身や手足を一瞬ピクッとさせる発作(ミオクロニー発作)
手や足、顔や全身が突然、ピクッとする瞬間的な症状が現れる発作です。発作は短時間ですが、連続して起こることがあります。持っているものを落としたり、投げ飛ばすことがあります。
4)急に全身の力が抜ける発作(脱力発作)
急に全身の力が抜けることで、尻もちをついたり、崩れるように倒れることのある発作です。発作時間は非常に短いですが、転倒することがあります。
気付かれにくい発作
てんかん発作は、倒れる発作だけではありません。口をモグモグ動かす動作をする、嫌なにおいを感じるなど、脳の一部が興奮して起こる焦点発作もてんかん発作です。
気付かれにくい発作の後に、けいれんを伴う発作に移行する場合があります。
気付かれにくい発作
運動機能の症状 |
など |
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感覚器の症状 |
など |
自律神経の症状 |
など |
記憶や感情の症状 |
など |
発作が起こりやすい状況や要素
一般的に、てんかん発作は、集中したり緊張しているときには発作は起こりにくく、ほっとしたときやぼんやりしているときのほうが発作が起こりやすいとされています。発作が起こりやすい時間帯や起こりやすい状況は患者さんによりさまざまです。保護者や主治医に発作が起こりやすい時間帯や状況について確認するとよいでしょう。
睡眠不足やストレス、疲労、お薬の飲み忘れなどによっても発作が起こりやすくなります。
発作が起こりやすい状況や要素
- ほっとしたとき
- ぼんやりしているとき
- 寝入りばな
- 寝起き直後
- 睡眠中
など
- お薬の飲み忘れ
- ストレス
- 疲労
- 睡眠不足
など
てんかんの治療
てんかんの治療は、発作を抑えるお薬による治療を柱としつつ、生活環境の調整やリハビリテーション、学校教育など、さまざまなアプローチが大切です。
お薬による治療で発作を抑えたり、発作の回数を減らしたり、発作を軽くしたりします。
また、お薬による治療以外に、手術での治療、食事療法などがあります。
治療方法やお薬の種類は、発作の様子や副作用などを考慮し、患者さんごとに決定します。
お薬により、服用方法や副作用が異なります。
通院頻度や治療方法、お薬の種類や副作用など、保護者や主治医に確認しておくとよいでしょう。